タイトル: 雨上がりの静寂と、4.1キロの愛おしさ
8月15日、土曜日の天気は雨のち晴れだった。午後になり窓から差し込む光の角度に、少しずつ季節の移ろいが混ざり始めているような気がする。しかし、我が家の時計は、ひどくゆっくりとしたペースで時を刻んでいる。いや、もしかすると少しずつ逆回転しているのかもしれない。
ノエの状況は、私のひそかな願いとは裏腹に、段々と悪くなっているのかもしれない。かつて暴れん坊だった16歳のウィートン色のレークランドテリアは、今や一日の大半を眠って過ごし、寝る事だけで自ら歩こうともしなくなった[cite: 1, 2]。庭の散歩も出来なくなり、完全に運動不足の状態に陥っている。
抱き上げて体重計に乗せると、デジタル表示は無機質に「4.1Kgになってしまった」ことを告げた。その軽さは、16年という月日が彼女から奪い去っていったものの質量のように思えてならない。
排泄に関しても、少しばかり厄介な問題が起きている。ウンチは出るものの、シッコがどうにも出ずらいらしい。用を足すときに大きな声が出て苦しそうだ。彼女はきっと、自分の体に起きている理不尽な変化に対して、懸命に抗議の声を上げているのだ。
さらなる問題は、彼女の口元にある。口臭がどんどんひどくなっているのだ。毎日の習慣だった歯磨きでさえ、今は痛がるようになってしまった。どうやら一部分の歯と歯茎が痛い様子だが、私や妻の手には負えず、今のところ何もできない。ただ、嫌がる彼女をなだめながら、そっと口元を拭うだけだ。
老いというものは、常に不均等にやってくる。ある部分はまだ元気なのに、別の部分は悲鳴を上げている。私たちはただ、そのアンバランスさに戸惑いながら、一日一日をやり過ごしていくしかない。
「獣医の診察日迄がんばれ」
私は眠り続ける背中をそっと撫でながら、静かにそうつぶやいた。彼女の小さな寝息のリズムを聞きながら、私はファインダーを覗く代わりに、今日という静かな一日を心のフィルムに焼き付ける。彼女がそばにいてくれる、それだけで十分なのだ。






.jpeg)


.jpeg)




