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2026年6月19日金曜日

老犬の寝息と、夏の足音

梅雨の晴れ間か、いや、もう夏がそこまで来ているのだろう。窓から差し込む陽射しが、じわじわと部屋の温度を上げていく。こんな日に無理をさせてはいけないと、ばあさんには「今日の散歩は中止にしよう」と伝えた。

我が家の愛娘、レークランドテリアののえは、今日もまた静かに寝ている。


カメラを構え、ファインダーを覗いても、切り取る景色は穏やかな寝姿ばかりだ。かつてのように、SNSやブログに載せるような変化のある写真がめっきり減ってしまった。「今日もまた寝ています」と書き込むだけの画面はどこか寂しく、老いぼれのカメラマンとしては少々手持ち無沙汰の感は否めない。


ばあさんが買い出しに出かける日は、私とのえの二人きりの留守番となる。傍らにごろんと横になり添い寝をしてやると、のえは「ウ〜ウ〜」と何か文句のような、甘えのような声を漏らす。ばあさんと居る時は大人しくしているくせに、私と一緒だとこうして何かを訴えかけてくるのだ。不器用な私に対する、あいつなりの会話のつもりなのだろうか。そう思うと、その小さな呟きすら愛おしい。

今朝は久々に、歯磨きのあとに結膜炎のケアをした。目やにがべっとりと付いており、どうやらまだ完治には至っていないようだ。小さな体で不調と闘っている姿を見ると、代わってやれないもどかしさに胸が締め付けられる。


これから秋先まで、このうだるような暑さが続くのだろうか。我が家の老犬は、果たしてこの厳しい夏を乗り越えることができるだろうか。気兼ねなく車に乗せて、見知らぬ街の風や美しい景色をまた一緒に見に行きたいと願っているが、今の状況ではそれも叶わぬ夢なのかもしれない。

今はただ、この穏やかな寝息が一日でも長く続くことを祈りながら、静かにシャッターを切るだけだ。

2026年6月13日土曜日

静かな雨と、突然の抗議

 

早いもので、昨年11月に空へ旅立った

ワイヤーフォックステリアのモウナさんの月命日がやってきた。

婆さんが買い物帰りに可愛らしい花を買ってきては、静かに供えている。

年金暮らしの私の1日が風のように過ぎていくのと同じくらい、

カレンダーをめくる手が早く感じる今日この頃だ。


さて、我が家のもう一匹の住人、老犬のレークランドテリアのノエさんはといえば、

今日も朝から私の横でぐっすりと寝込んでいる。

最近は少し起きていただけで疲れるのか、何時もこんな調子である。

少し涼しい日には見違えるようにシャキッとして元気になるのだが、

こう雨が続いて蒸し暑いと、すっかりグッタリしてしまって見ているこっちが心配になる。

暑くなると食欲まで落ちてしまうのは、飼い主の私とすっかり同じだ。

似た者夫婦ならぬ「似た者主従」といったところか。


そんな静かな午後、2階の自室でひとり考え事をしていると、

突然階下から「ワン!!」という鋭く大きな叫び声が響き渡った。

心臓が止まるかと思うほどビックリして様子をうかがうと、

どうやら婆さんがノエさんにとって「嫌なこと」をしたらしい。

爪切りか、ブラッシングか。ノエさんは、婆さんに嫌なことをされている時だけは、

老犬とは思えないほどの声量で抗議するのだ。

嫌なことをされていると直ぐに声に出して訴えるその素直さには、

ある意味で感心してしまう。

ただ悲しいかな、その元気もいつまでも続くわけではない。

ひとしきり吠え終わった後は、また定位置に戻ってフーフーと息をついている。


愛用のカメラのファインダー越しにそんなノエさんを眺めながら、あとどれくらい、

この突然の「ワン!」に心臓を縮み上がらせることができるのだろうかと、

ふと考えた。ボケ防止にと書き綴るこの日記も、

もう少しだけノエさんの賑やかな抗議の声と共に続けていけたらと思う。

2026年6月8日月曜日

穏やかな退屈と、君の丸い背中

 朝陽が差し込む居間の片隅で、今日も静かな寝息が聞こえる。我が家の愛犬、レークランドテリアの「ノエ」だ。


かつては家の中を暴れ回り、私の手を焼かせたあの日々がまるで幻だったかのように、今のノエは食事の時間を除けば、一日のほとんどを柔らかな布団の上で過ごしている。「遊ぼうよ」とせがむこともなくなった小さな丸い背中を見つめていると、取り戻せない時間の重さを感じて、少しだけ胸が締め付けられる。

我が家の朝の儀式は、その日のノエの体調――いや、気温や天候によるご機嫌と言うべきか――によって順番が変わる。調子が良い日はご飯を先に出すのだが、平らげた後はまたすぐにうとうとし始める。そして、私たち夫婦の食事が終わる頃合いを見計らって、今度は歯磨きのために起こされるのだ。毎日毎日、代わり映えのしないゆったりとしたルーティン。けれど、この静かな反復こそが、今の私たちにとってはひどく愛おしい。

本当は、また助手席に乗せて、一緒に見知らぬ街や景色の良い場所へドライブに行きたい。だが、ノエはもうお家のお気に入りの場所で眠るのが一番の幸せらしい。それでも、私が車をいじっていると、そわそわとした視線を送ってくる。「自分だけ置いていかれるのではないか」という不安が、その瞳に浮かぶのだ。

「どこにも行かないよ。行くときは、お前も一緒だよ」

そう語りかけながら、少しだけ細くなった首筋を撫でる。こんな穏やかな毎日が一日でも長く続いてほしいと願う反面、どうしても「その先」を想像しては、ふいに怖くなる。だからこそ、私はカメラを手に取り、今この瞬間の日常を記憶に留めようと足掻いているのかもしれない。

「今日を生きてくれ。お前も、私も」

眠りにつくノエに、そう小さく呟いた。もしも本当に疲れてしまった時は、どうか私に教えてほしい。それまでは、この穏やかな退屈を、共に味わい尽くそうじゃないか。


『Title: Gentle Boredom and Your Round Back』

In the corner of the living room, bathed in the soft morning sunlight, I can hear the quiet, steady sound of breathing today as well. It is Noe, our Lakeland Terrier.",

"As if the days when she used to tear through the house and leave me at my wits' end were but a phantom, Noe now spends most of her day resting on a soft futon, save for meal times.

 Watching her small, round back that no longer begs me to play, I feel the weight of irretrievable time, and my chest tightens just a little.

Our morning ritual changes its order depending on Noe's physical condition that day—or rather, her mood dictated by the temperature and weather.

On a good day, she eats first, only to start dozing off again right after. Then, just as my wife and I finish our own meal, she is gently woken up to have her teeth brushed.

Every single day follows this unvarying, leisurely routine. Yet, it is this very quiet repetition that we hold so dearly now.

Truth be told, I long to put her in the passenger seat and go for a drive to unfamiliar towns or scenic landscapes once more.

However, Noe seems to find her greatest happiness simply sleeping in her favorite spot at home.

Even so, whenever she sees me fiddling with the car, she casts a restless gaze my way. An anxiety floats in her eyes, as if wondering, 「Am I being left behind?」

 「I'm not going anywhere. If we go, we go together」 I tell her, gently stroking the nape of her neck, which has grown a little thinner."

While I pray that these peaceful days will continue for even one more day, I cannot help but occasionally imagine 'what comes next,' and a sudden fear strikes me.

Perhaps that is exactly why I take up my camera, struggling to anchor this very moment of our daily life into memory.",

 「Live for today. Both you and me」 I whispered softly to Noe as she fell asleep.

If you truly become too tired, please tell me. Until then, let us savor this gentle boredom together.

2026年5月27日水曜日

16歳のレークランドテリア。歩かない庭散歩と、別犬になる「おやつタイム」

 日差しにじりじりと夏の気配が混じるようになり、

老犬には散歩も儘ならない季節となってきました。

16歳になる愛犬の体調が、この時期はどうしても心配になります。


今はまだ、我が家の庭をトコトコと歩く元気はあります。

ただ、厄介なことに蚊が出始めました。

この子は免疫性の病気を抱えていて予防接種ができないため、

首には手作りの「蚊よけのおまじない」をしっかりと巻いての庭歩きです。

ところが、庭に出ても歩きません。

「こっちにおいで」と呼んでも、知らん顔。

少し前まではこの庭で、私と元気にかけっこをしていたというのに。

あれはずいぶん昔のことだったか……いや、

つい最近までそうだったはずだと、時の流れの早さに少し寂しくなります。


短い「お庭での散歩」が終わって家の中へ戻ると、

今度はお待ちかねの「おやつ」の時間です。

これだけは絶対に忘れません。

普段はトボトボと歩きが遅くなったというのに、

この時ばかりはまるで別犬のように急いで寄ってきます。

私がわざと知らん顔をしていると、

「早くちょうだい」とばかりに催促までしてくる始末。

よく「食欲があれば大丈夫」と言いますが、

この執念とも言える勢いは、果たして単なる食欲なのでしょうか(笑)。


カメラを持ってもう少し色々な場所へ

連れて行ってやりたい気持ちもあるのですが、

やはり疲れるのか最近は外出が嫌いなようです。

以前楽しんでいた車でのドライブもすっかりできなくなりました。

私と外で思い出を作るよりも、住み慣れたお家で静かに寝ている方が、

今のこの子にとっては一番の幸せみたいです。


おやつの時間が終わると、満足したのかすぐにお昼寝タイム。

すやすやと眠る姿を見ながらふと考えます。

レークランドテリアの16歳は、人間で言えば一体何歳なのでしょうか。

おそらく、とうの昔に私自身の年齢は追い越しているのでしょう。

「なんだか、お前も頑張って生きているんだな」と、

寝顔に向かってそっと呟く毎日です。